キスだけでは終われない
「自分の意志がなければ続けられないし、頑張れないものだから、今は自分で変わろうとすることができるだけで十分よ」
「うん…ありがとう」
「私の方はまだしばらく忙しくて香苗のお手伝いができなくて残念だわ」
忙しい彩未ちゃんはもう9時を過ぎているのにこれから夕飯だというので、この日は電話を切ることにした。
それからも淡々と日が過ぎていき、季節が変わろうとしている頃、伸びてきた髪をカットしに行く。もう黒に染めたりもしない。
まずは今の自分が自然体でいられるようになりたい、そう考えていた。
さらには自信をつけるって…と考え、私は地味な私になる前の今の自分に似ていた頃に家族でしばらく暮らしていたあの場所に行きたいと考えるようになっていた。家に帰ると旅行サイトを見て、1ヶ月後に出発する予約を入れたのだった。