キスだけでは終われない
私のことにとにかく口をだし、時には手も出してくる過保護な祖父。

母は駆け落ち同然に父と結婚したため私が生まれた時にのことを祖父は知らない、そう母は話していた。
私が3歳になる頃にやっと仲直りしたんだそう。それからの祖父は激甘なじいじになったんだとか…。

そもそも私は祖父の会社以外を受けようといろいろな業種を調べていた。それなのに祖父は自社に入社させるために多方面に手を回し、私を自分の会社に入社するように仕向けた。それならばと少し距離のおける宝飾部に配属希望を出したのに、本社にはないという理由で営業部所属となったとか。
これは祖父の我が儘だと、社長である伯父が教えてくれた。

とはいえ、配属されたからには真面目にお仕事をしている。そんな私の邪魔をしてくるのは会社に何をしに来ているのか分からないこの祖父だ。

「じゃあ、近いうちにわしの選んだ人と会うぞ。わしが元気なうちに花嫁姿を見せて欲しい」

「えっ…そんな…。そんなこと勝手に決めないでよ。知らない男の人と会うだけでも緊張して疲れちゃうし、会話なんて出来ないよ。第一、こんな地味な私と結婚しようと思う人なんて、そうそういないよ…」
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