キスだけでは終われない
自らのシャツを脱いだ彼が私をベッドに倒すと、私の顔の横に手をつき上から見下ろしてくる。
「カナ、これが最後だ。止めるなら今だぞ」
彼の熱い瞳に映る自分を見つけると、私も彼を見つめ返し頷いた。
彼から伝わる熱がどんどん熱くなってくる。
「…あっ、…ん」
自分のものとは思えない声が漏れる。
彼にすべてを委ね彼からの愛撫を受け入れていた。
私の頬を触っていたはずの彼の手が太もものあたりを撫で、誰も触れたことのないところに辿り着く。
唇が首筋を辿りながら愛おしそうに名前を呼ぶ。
「カナ…カナ」
名前を呼ばれるたびに身体の中から熱い気持ちが湧いてきて私も彼の頬に手をあて名前を呼ぶ。
「マサキ…」
私が彼の名前を呼ぶと、嬉しそうな顔で私の額に唇を当てる。
彼の唇が私の体の至るところにチリっとした感触を残した。所々に赤い印が付けられる。
「ああ、やっと君を抱けるんだな。夢のようだよ」
射るように見つめる彼の瞳に恐怖心も警戒心も溶けていく。
「…大事にする…だから、いいか?」