キスだけでは終われない
「好きなカクテルとかある?」
「いえ、あまり詳しくなくて」
「じゃあ、僕が選んでもいいかな?カシスソーダとかはどう?」
「お、お願いします」
と落ち着かない感じて答えると
「了解。彼女にはカシスソーダとそれとロブロイで」とバーテンダーに注文してくれた。
すごく女性の扱いに慣れてる感じがして…なんだかデジャブ?なんて考えていた。
それに私から見たら勿体ないくらいスマートで、すごく大人な男性だと思った。
「このカクテル、甘くて飲みやすいですね」
「カシスソーダはお酒が苦手でも飲みやすいはずだからね。それでもアルコールだから飲み過ぎないように気をつけてね。まぁ、初日にいきなり酔った君をどこかに連れ込むようなことはしないと誓うけど、君が酔ったところをみたら、僕も我慢できるかわからないからさ」
「…え…?」
そんなことを妖艶な笑顔でさらりと言うので、驚いて目を見開いてしまう。
「そんな顔されると、ますます惹かれちゃうな。ねぇ、カクテル言葉って知ってる?ちなみにカシスソーダは『あなたは魅力的』って言うんだよ。君のお祖父さんが君は引きこもりがちで男性のことが苦手だって心配していたのを知ってたんだけど、誘わずにはいられなかった。すごく魅力的な子だなと思ってさ、君のことを考えたら思わずこのカクテルを飲んでもらいたくなったんだよね」
「…魅力的だなんて、初めて言われました。
私、今までは職場の人と食事や飲みにも行かなかったので、引きこもりと言われても仕方ないんですけど、最近は少しずつ外に出るようになったんですよ。でも、こんな素敵な夜景が見られるお洒落な所に来たのは初めてです。カクテルを飲むのは2度目ですけどね」
「ふーん。1度目は誰と飲んだのかな…」