僕の姫様、必ず守るよ

ー桜花サイドー

倒れてからというもの、
葵が気を遣ってくれて炎舞の溜まり場に
行かないことが増えた。


私があんまり馴染めてないのをわかって
いたからだろう。


少しだけど、気が楽になった。


たまに、食べやすそうなカットフルーツとか
パウチのドリンクをくれた。


葵なりの気遣いなのだろう。


朝は変わらず迎えにきてもらい、放課後
はまっすぐ帰る。


それがルーティンに変わった。


葵は、朝いつも何か言いたげだけど
何も言ってこない。


この間、どうしたの?なんかあった?
と聞いたけど何もないと返されてしまった。


学校での陰口はというと変わらないまま。


陰口なんてずっと気にならなかったけど、
最近はよく耳に入ってくるようになった。



「暴走族の女って怖いよね」


「前は男の子取っ替え引っ替えしてたよね」




ヒソヒソと声が聞こえた。


体が疲れているからだろうか。


すごい、耳障りに感じる。


前の私なら怒って机蹴ったりしてたけど、
今はそんな気力もなかった。


クラスの雰囲気に耐えきれなくなった私は
屋上に行くことにした。

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