僕の姫様、必ず守るよ


「さっきはありがとう。
 お陰で助かった。」


「桜花ちゃんの力になれたようで、
 なによりだよ」



「なんで写真持ってたの?」
  


「あぁ、あれね。
 たまたま朝早くついたから、桜花ちゃんの
 クラスでも行ってみるかと思って行ったら
 たまたま遭遇したってわけ」


私のストーカーって言いかけたら、



「ストーカーでは、ないからね!
 たまたまだから!」



たまたまで遭遇するかなと思いながらも、


「雅のお陰で助かった。
 ありがとう。」


「いえいえ、こんなことよくあるの?
 あの時の桜花ちゃん、またか見たいな
 顔してたから」



「昔からよくあるんだよね。
 授業出てないから。だから、またかって
 思って色々諦めちゃったんだよね」



「そっか。でも、諦めないで違うっていうこと
 も大事だよ。やってないことはやってない
 って言わなくちゃ」



「雅に何がわかるの!! 

 私のこと何にも知らないくせに」



私の家のことも、私の境遇のことも
何も知らないくせに。



「桜花ちゃんのことは、確かに知らない。

 でも、桜花ちゃんの心が傷つくのは
 嫌だな」




「別に傷ついてなんかない!!」




「桜花ちゃん、僕に嘘をつくのは構わない。

 でも、桜花ちゃんが桜花ちゃんに嘘を
 つくのはダメだよ。

 そんなことしてたら、本当の桜花ちゃんを
 知っている人が誰もいなくなっちゃう」




「知ったようなこと言わないで!!

 もう、私に関わらないで!」





気づいたら、私は屋上のドアから
飛び出していた。

これ以上、雅に心を見透かされるのが
嫌だったのかもしれない。

私が飛び出したあと、雅が悲しそうな苦しそうな顔をしていたなんて、私は知らなかった。


< 20 / 280 >

この作品をシェア

pagetop