更生係の憂鬱生活


「…澪は、僕らのこと、見放さないんだね」

『…何、急に』


代那から言われたことと、若干似ている。

奏は、寂しそうに言った。


「…僕は、自分勝手に振る舞うことが当たり前に生きてきたから、澪ちゃんみたいに叱ってくれる人がいなくてさ。

 本当はね、少し…嬉しかったんだ」


甘やかされて育ったことを、どこか苦しく感じていたらしい。

思わぬ本音に、私は目をパチパチとしていた。


ー「根は悪い奴等ではないそうですよ」


剛の言葉は、本当だと信じてもいいんだろうか。

救いようもない馬鹿達かと思ってたけど、わずかに印象が変わった。


『…ちゃんとルール守るなら、見放さない』


見放すとしたら。

その時は、私が更生係を辞める時か、BLAZEが追放されたり、学校が潰れる時だろう。


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