更生係の憂鬱生活
「大丈夫ですか、澪さん」
『…っ、ふ、ぅあ…』
ー…涙を、堪えきれなかった。
扉が閉まった瞬間、滝みたいに溢れて止まらなかった。
覚悟してたつもりだった。
割り切ろうと頑張って、結局無理だった。
自分で傷つけたのに。
皆のほうがきっと、もっと傷ついてるはずなのに。
私は、私の役割を最後まで全うしなくちゃいけないのに。
…これで、正解、なのにな。
どうして、なの。
皆を裏切って離れることが、こんなにも辛いなんて…。
そう思ってしまう私は、どうしようもなく愚かなんだと思う。
今更後悔したって、もう、遅いんだから。
傷つくのは、誰かを傷つけるのは、これで最後にしたい。
風紀委員会の部屋に戻るまで、声を殺し、顔を両手で隠した。
泣いても泣いても、スッキリする気がしないのに、涙は一向に枯れなかった。
その日、剛にそっと背中を擦られながら、私はただ泣き続けた。