冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
じとーっと見られて、ミリアはぎこちなーく視線をそらした。

「え、と。それ以外はなんにもなかったんだよ、本当だよっ?」

「それは昨日も聞いたけど? あれだろ、その時に、離縁する気はないとか言われて告白もされたんだろ?」

「こ、告白……!?」

声がひっくり返りそうになった。

「あ、そ、そうだね、殿下は姫様のことが好きだったみたいで。いやっ、でもそれにトドメを刺したのは十年前の私で……!」

「落ち着けって、お前どうした?」

ミリアは答えられずにしゃがみ込み、うおぉおぉ……と頭を抱えた。

落ち着けと言われても、無理。アンドレアのことを考えようとすると、心臓がばくばくするし、昨日はとにかく情報量が多すぎた。

(離縁のために身代わりで嫁いできたのに、まさか私たちの計画が根本から見当違いだったなんて想定外だよ……!)

アンドレアは、どうやらコンスタンシアが好きだったようなのだ。

それでいてミリアは、自信があったのにまた木から落ちた。その失態を今度は彼の方に晒したかと思うと、後悔ばかり浮かんだ。

「木の上の見張り役だってこなしていた私がっ、まさかのつ、初歩的なミス! うぅっ、姫様に見られるよりなんで殿下に見られた方がショックなのぉおぉお!?」

感情のまま吐き出して、腑に落ちた。

(うん、混乱していた要素の一つはそれだ)

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