冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
たぶん、木から落ちて受け止めてくれた時には恋が始まっていた。
止めるどころか木登りの提案を許可して、失敗したのに『ミリアらしい』と喜ぶみたいに笑ってくれた彼――。
その笑顔が、言葉が、彼自身の存在がするっとミリアの心に入り込んだのだ。
「だから、胸がどきどきしたんだなぁ」
今になって全部腑に落ちた。
ミリアは、溜息を吐き出しながら腕に額を乗せた。こんな気持ちは初めてなので、どうしたらいいか分からない。
(どうしよう……)
アンドレアのことを考えるだけで、心臓が変になる。
それと同時に、彼が見ているのはミリアを通して『コンスタンシア姫』だという事実に、ずきずきと胸が締め付けられるのだ。
シャルスティーヌは、待って様子を見ることも大事だと助言してくれた。
彼女は本物の〝姫様〟だ。たくさんの知識と、自身の経験からも考えてそう言ってくれたのだろう。だから聞くべきだと思う――のだけれど。
(アンドレア様が初夜の日を決めたらおしまい、だからすぐに動くべきだよね)
身代わりがバレたら、国交問題になるかもしれない。
この国の人たちは〝第一王女〟を娶ったと思っているのだから。
それでもミリアは苦しかった。離縁するためには、アンドレアを傷付けてしまう。こうして話せる関係も終わる。
(ううんっ、何を悩んでいるの。やるべきことは何も変わってない――私は、身代わりなんだから)
止めるどころか木登りの提案を許可して、失敗したのに『ミリアらしい』と喜ぶみたいに笑ってくれた彼――。
その笑顔が、言葉が、彼自身の存在がするっとミリアの心に入り込んだのだ。
「だから、胸がどきどきしたんだなぁ」
今になって全部腑に落ちた。
ミリアは、溜息を吐き出しながら腕に額を乗せた。こんな気持ちは初めてなので、どうしたらいいか分からない。
(どうしよう……)
アンドレアのことを考えるだけで、心臓が変になる。
それと同時に、彼が見ているのはミリアを通して『コンスタンシア姫』だという事実に、ずきずきと胸が締め付けられるのだ。
シャルスティーヌは、待って様子を見ることも大事だと助言してくれた。
彼女は本物の〝姫様〟だ。たくさんの知識と、自身の経験からも考えてそう言ってくれたのだろう。だから聞くべきだと思う――のだけれど。
(アンドレア様が初夜の日を決めたらおしまい、だからすぐに動くべきだよね)
身代わりがバレたら、国交問題になるかもしれない。
この国の人たちは〝第一王女〟を娶ったと思っているのだから。
それでもミリアは苦しかった。離縁するためには、アンドレアを傷付けてしまう。こうして話せる関係も終わる。
(ううんっ、何を悩んでいるの。やるべきことは何も変わってない――私は、身代わりなんだから)