冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
見下ろす彼の眼差しは、熱い。ミリアはその瞳に映ったプラチナブロンドの少女を見つめ、切なく目を細めた。

「アンドレア様……」

(そこに映っているのは、幻なのに)

罪悪感で胸が締め付けられて、同時に恋しくて胸が締め付けられる。

「けれど、今日は余裕でいられなかった。俺のものだと実感するためにキスをもらいにきた」

「えっ」

一瞬、聞き間違いかと思った。

けれどミリアの思考なんてお見通しのように、彼が確実に間合いを詰めてくる。

「何も間違ってはいない。俺は、君とキスをする」

そう言われた時には、彼の唇はすでにミリアのすぐそこで動いていた。

(あ、こすれて――)

そう思った直後、ミリアは彼に唇を奪われていた。

「ん、ぅ」

柔らかな感触が重なって驚いた。手に力が入るものの、彼がベッドに押し付け直してしまう。

アンドレアはついばみ、吸い付いてくる。

(だめ、私、姫様じゃないのに)

拒もうとしたら、角度を変えて吸い直される。押さえつける身体は強引なのに、キスは優しくて徐々に身体から力が抜けていく。

「声、可愛い。こんなに可愛い生き物は初めてだ」

息が苦しくなって呼吸をさせてもらったら、またすぐに彼が唇を塞ぎ直してきた。

(キスって、こんなに長いものなの?)

ミリアはどきどきしすぎて顔も熱くなっていた。

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