冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
ミリアのナイトドレスを整え直し、シーツもきちんとかぶせる。

「あ、のっ」

離れていく背中に声をかけたら、彼がくすりと笑った。

「部屋も消灯しておく、おやすみ」

アンドレアは寝室の扉を静かに閉めていった。隙間から見えた円卓の灯かりが消えて、間もなく扉が閉まる音が聞こえた。

心臓が大変なくらい鼓動していた。

こんな状況で、すぐ眠れるはずがないとミリアは思った。

(……どうにか、しなくちゃ)

コンスタンシアとアーサー王子の結婚がかかっている、それから、国交も――いろんなことが一気に込み上げ、覚悟を決めろとミリアに訴えかけてきた。



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