冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
「おうちで人が心配しているんじゃないか?」
男性の言葉に、離宮に残してきたカイたちを思い出して胸が痛んだ。
(何も言わずに、出てきちゃったもんね……)
相談した方が良かっただろうか。
けれど、昨日のアンドレアとのことなんて口にできない。
(肌を舐められて、キス、されたなんて)
ミリアが知っている唇同士に軽くするキスとは、全然違った。人に知られていいようなものではない、官能的で、夫婦二人だけの逢瀬みたいな――。
家出作戦を告げたとしても、カイたちに止められるのも分かっていた。
この先を、ミリアは考えていない。
まずは城を出る。アンドレアから離れなくては、としか考えは定まっていなかった。身体を張って離縁を主張にするにしても、衣食住をどうするのか、どこに隠れるのか、衝動的で計画性なんてほぼない。
「うん、ありがとうおじさん。急に飛び乗ってごめんなさい」
ミリアは、悲しい顔をしないように笑って見せた。
「実はね、向こうの目立つ森のところで両親と待ち合わせしてるんだ」
「おや、そうだったのかい。馬車賃を忘れたのか?」
「えへへ、実はお菓子で使っちゃって」
よくある理由を告げた。
「はー、俺の息子と同じことしてんなぁ。はっはっはっ、とんだ元気なお嬢さんだ。近くを通るから送ってあげよう、上は危ないから荷台に移動しな」
「ありがとうございます!」
男性の言葉に、離宮に残してきたカイたちを思い出して胸が痛んだ。
(何も言わずに、出てきちゃったもんね……)
相談した方が良かっただろうか。
けれど、昨日のアンドレアとのことなんて口にできない。
(肌を舐められて、キス、されたなんて)
ミリアが知っている唇同士に軽くするキスとは、全然違った。人に知られていいようなものではない、官能的で、夫婦二人だけの逢瀬みたいな――。
家出作戦を告げたとしても、カイたちに止められるのも分かっていた。
この先を、ミリアは考えていない。
まずは城を出る。アンドレアから離れなくては、としか考えは定まっていなかった。身体を張って離縁を主張にするにしても、衣食住をどうするのか、どこに隠れるのか、衝動的で計画性なんてほぼない。
「うん、ありがとうおじさん。急に飛び乗ってごめんなさい」
ミリアは、悲しい顔をしないように笑って見せた。
「実はね、向こうの目立つ森のところで両親と待ち合わせしてるんだ」
「おや、そうだったのかい。馬車賃を忘れたのか?」
「えへへ、実はお菓子で使っちゃって」
よくある理由を告げた。
「はー、俺の息子と同じことしてんなぁ。はっはっはっ、とんだ元気なお嬢さんだ。近くを通るから送ってあげよう、上は危ないから荷台に移動しな」
「ありがとうございます!」