冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
彼にも、彼女が大好きな人たちを知ってもらって……。

みんな一緒のこんな幸せがあったらいいのになと思って、ミリアは笑い、閉じたままの目から涙を一粒落とした。



次にハッと目を覚ました時、窓からは眩しい光が差していた。

「……ここ、どこ?」

大きな高い天井、広い部屋の大きなふかふかのベッド。目に映る状況を噛み砕いていた時、横からさっとカイたちの顔が映り込んできた。

「良かったミリア! 目が覚めたか――ぐはっ」

「え! 私、王宮に戻ってる!?」

騎士たちがほっとした次の瞬間、がばりと起き上がったミリアの頭がカイの顎を強打した。すごくいい音が上がって、全員が距離を置く。

「ぐぉぉぉ……このっ、石頭め……っ」

ふらふらしながらカイが呻いている。

ミリアは、知らない部屋にいる彼の存在を「あれ?」とようやく認識する。騎士たちの一部が彼のそばに寄った。

「おい、大丈夫か? 星が飛んでる感じか?」

「もろに食らってたからなぁ……」

「さすがミリアだぜ、一発で痛点を決めるとは」

「うわっ、うわぁあぁあほんとごめんなさい! カイの並みのちょい上の顔が変形してたらどうしよう!?」

「一言余計だわ! これでもイケメンに分類されますけど!? お前は美少女枠だとでも言いたいのかゴラァ!」

騎士たちが「カイ落ち着け!」と後ろから羽交い絞めにする。

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