冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
「私がここへ到着したのに、ミリアが出て行ってどうするのよ!」

「到着……? ここに?」

身代わりでミリアがここにいるのに、どうして本物のコンスタンシアがここに来るのか。

疑問符がいっぱい頭に浮かんだ時、護衛騎士たち扉を大きく開いて押さえ、そこからアンドレアが入室してくるのが見えた。

ミリアはその姿を見て、胸が大きくはねた。

(こ、こんな時なのに『どきん』てするなんて私のバカあぁあぁ!)

そう思うものの、コンスタンシアと再会した時とは違う胸の高鳴りが収まらなかった。

好きな気持ちが溢れて、どうしようもない。

決意してここを出た。眠っている間に見られなかった時間だけ、また好きになってしまったみたいだった。

「元気そうで良かった」

アンドレアの赤い瞳が、安堵に細められる。

穏やかで美しい微笑みだった。ミリアはどきどきして――直後、彼に続いてジェフリルド国王とエミリオ、そしてサンスティール王国のガイエンザル国王もぞろぞろと入室してきて驚愕した。

「う、うわぁああああぁぁロイヤルファミリーが勢揃い……!?」

一気にパニックになった。

コンスタンシアが小動物の興奮を抑えるみたいに、ミリアを再び抱きしめて「落ち着きなさいな」と愛情溢れる声で軽く叱る。

「はははっ、それだけ元気だと安心だねぇ」

ジェフリルド国王が愉快そうに言った。

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