冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
「でしょう。私も末娘のように可愛がっていたものです」

ジェフリルド国王に対して、ガイエンザル国王が絶賛同意している。

「ふふふ、こういう嘘は真実を交えるから効くんだよ」

獣人国王の王は、やっぱり食えないお人だ。

答えたジェフリルド国王を見て、そう思ったのはミリアだけではないだろう。兄の横でアンドレアも大変渋い顔だし、コンスタンシアも苦笑いだ。

「でも全部が全部嘘ではない。まだ色々と誤解しているみたいだね?」

「え?」

「父上」

そばからアンドレアが呼んだ。エミリオも協力し、言う。

「それは本人に任せると約束したばかりでしょう。さ、姫君もどんどん怒ってくれていいんですよ、私が助力いたしましょう」

「ふふっ、ありがとうございます、エミリオ王太子殿下」

けれど――と答えて、コンスタンシアはまっすぐミリアを見つめた。

同じアイスブルーの瞳だけれど、こうして向かい合うとね容姿も雰囲気も年の離れた姉妹ほど違う。

「はじめはすごく怒ったけど、でもいいお話だと思ったのよ」

「姫様はどうしてそうお思いに?」

「だって、私がいなくなっちゃったら、ミリアを一人にしてしまうでしょう? 私は、それが心残りだったの」

ミリアはハッと胸が詰まった。

「……連れていっては、くれないのですか?」

< 215 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop