冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
尊敬しているガイエンザル国王の案だが、ちょっと信用ならないというか呑気すぎやしないかとミリアは思ったりする。
相手は、獣人族が住む超大国のラグウルフ王国だ。
与えられた使命は、今回の結婚相手である次期王弟殿下の第二王子の妻として、半年だけ滞在すること。
(みんな大丈夫だと言っていたけど、ほんとかなぁ)
ミリアは不安がる。
敵国に一人乗り込む心境は、緊張感が半端じゃない。
「……だ、大丈夫かな。ああもうっ、この際、意地を張らずに誰かについてきてもらえばよかった!」
いまさら後悔しても遅い。
頭を抱えたミリアが思い出したのは、心配をかけないよう反射的に言った、次の自分の台詞だった。
『姫様ご安心を! あなたの一番の護衛です、これくらいの任務平気ですから!』
回想したミリアは、前屈みになってうおぉぉと呻きをこらえる。
(私ばかなのかな……いや、そんなはずは……私は姫様自慢の優秀な護衛侍女、一人でだってなんでもできる子っ)
と、彼女が心の中で自分に言い聞かせている一方で、今まさに自国で「あのアホな子、大丈夫ですかね?」と王族の護衛たちも噂しているとも知らず――。
今日、ミリアは、第一王女コンスタンシア・サンスティールとして、嫁ぐ。
相手は、獣人族が住む超大国のラグウルフ王国だ。
与えられた使命は、今回の結婚相手である次期王弟殿下の第二王子の妻として、半年だけ滞在すること。
(みんな大丈夫だと言っていたけど、ほんとかなぁ)
ミリアは不安がる。
敵国に一人乗り込む心境は、緊張感が半端じゃない。
「……だ、大丈夫かな。ああもうっ、この際、意地を張らずに誰かについてきてもらえばよかった!」
いまさら後悔しても遅い。
頭を抱えたミリアが思い出したのは、心配をかけないよう反射的に言った、次の自分の台詞だった。
『姫様ご安心を! あなたの一番の護衛です、これくらいの任務平気ですから!』
回想したミリアは、前屈みになってうおぉぉと呻きをこらえる。
(私ばかなのかな……いや、そんなはずは……私は姫様自慢の優秀な護衛侍女、一人でだってなんでもできる子っ)
と、彼女が心の中で自分に言い聞かせている一方で、今まさに自国で「あのアホな子、大丈夫ですかね?」と王族の護衛たちも噂しているとも知らず――。
今日、ミリアは、第一王女コンスタンシア・サンスティールとして、嫁ぐ。