冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
ミリアは、急にキリリと真面目な顔をして彼に指を向けた。

「それ、採用」

カイたちは、露骨にほぉっと安心していた。



結婚をしたくないはずの第二王子アンドレアの態度が変化したことについて、ミリアは情報を集めるべくカイたちを連れて王宮へと上がった。

(国王に叱られていただとか、表面上だけの詫びのつもりだったと分かる情報があると嬉しいんだけどなぁ……!)

もはや願望だった。

考えごとが全部顔に出ているミリアを、カイたちが何か言いたそうに見ていた。ミリアは離宮を出てからずっと考えている。

(カイたちは、通路に騎士がいたら話を聞けばと助言してくれたけど、ここは腹をくくって控室に乗り込む覚悟で行こう!)

ミリアは、気持ちが急いて早歩きになった。

「あっ、ミ――っ姫、あまり護衛から離れてはっ」

カイの焦った声がする。

だが直後に角を曲がったミリアは、目の前に壁があって仰天した。

それは壁ではなく、白い貴族衣装の男性の胸板だった。ぶつかりそうになって慌てて回避をはかる。

「うわっ」

だが、重い姫衣装のせいで柔軟に動けなかった。そのままひっくり返りそうになったミリアの手を掴んで、相手が助けた。

「大丈夫?」

「あ、ありがとうございま――」

「あれ? 君、コンスタンシア姫じゃない?」

「――え」

ミリアは、ようやく相手の金髪碧眼が頭に入ってきた。

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