Touch me 〈White Snow 〉 合コン編
【2 八重樫さん】


私はテーブルの角、さっきまでの席とは対角線上にある席へと移動していた。
前は営業部の榊さん、八重樫さんの前が片桐さん。

「んじゃ、ま」
ビールのグラスを差し出された。
チン。
「カンパーイ」
グラスを軽く当て、4人で乾杯をする。

「久しぶりだね。最近どうなのよ?」
答える。

「普通に働いてますよ」
「榊も営業でがんばってんだよな?」
「はい。あ、こいつ桐谷っていって、同じ営業なんです」
「へえ。よろしくね。俺、八重樫。俺ももともと営業にいたんだよ」
「海外事業部の八重樫課長と話せるなんて光栄です」
「合コンで課長はやめてー。ガッシーでいいよ」
とにこにこ笑う八重樫さんに桐谷君が困った笑みを浮かべた。

「桐谷君、誰もガッシーなんて呼んでないから、安心して『八重樫さん』ってよんだらいいよ」
と助け船を出すと、ほっとした表情になった。

「残念。で、桐谷君は今誰とアシスタン組んでるの?」
「はい。いろいろですけど、一番多いのは倖さんですね」
「あれ?今はペア組んでしてないの?」
「今はアシスタントの人数が減ってしまって、その都度、アシスタントさんに書類作るのをお願いするって感じなんです」
榊さんが説明をする。
「へえ。そうなんだ」

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