【完結】秘密の子育てがバレたら、愛で包囲されました。〜その子の父親は、俺だろ?〜
「果琳……いい名前だな。あの子にピッタリだ」
「ありがとうございます」
そして彼は、私の身を見つめてながらこう言った。
「なあ……君の名前を、教えてくれないか?」
「……麻川(あさかわ)由紀乃です」
「由紀乃……。素敵な名前だ」
私は彼の名前を知らない。そして彼も、私の名前を知らなかった。
「俺は片倉(かたくら)剛久(たかひさ)だ。よろしく」
「……はい。よろしくお願いします」
彼の名前は、片倉さん……。
「なあ、由紀乃」
「……はい」
「良ければまた……果琳と会わせてくれないか?」
「……え?」
片倉さんは果琳の方を見つめながら、私の答えを待っている。
「俺は果琳と……君と、家族になりたいって思ってる」
「はい……?」
家族……? 私と片倉さんが、家族……?
この人は、何を言っているのだろう?
「君と……家族になりたいって思ってるんだ」
「家族……?」
「あの日君を抱いてから、俺はずっと君のことが頭から離れなかった。……いつかまた会いたい、そう思っていた」
えっ……。この人は一体、何を言っているのだろう……。
突然私の前に現れて、訳の分からないことを言っている。