【完結】秘密の子育てがバレたら、愛で包囲されました。〜その子の父親は、俺だろ?〜


「果琳……いい名前だな。あの子にピッタリだ」

「ありがとうございます」

 そして彼は、私の身を見つめてながらこう言った。

「なあ……君の名前を、教えてくれないか?」

「……麻川(あさかわ)由紀乃です」

「由紀乃……。素敵な名前だ」

 私は彼の名前を知らない。そして彼も、私の名前を知らなかった。

「俺は片倉(かたくら)剛久(たかひさ)だ。よろしく」

「……はい。よろしくお願いします」

 彼の名前は、片倉さん……。

「なあ、由紀乃」

「……はい」

「良ければまた……果琳と会わせてくれないか?」

「……え?」

 片倉さんは果琳の方を見つめながら、私の答えを待っている。

「俺は果琳と……君と、家族になりたいって思ってる」

「はい……?」

 家族……? 私と片倉さんが、家族……?
 この人は、何を言っているのだろう?

「君と……家族になりたいって思ってるんだ」

「家族……?」

「あの日君を抱いてから、俺はずっと君のことが頭から離れなかった。……いつかまた会いたい、そう思っていた」

 えっ……。この人は一体、何を言っているのだろう……。
 突然私の前に現れて、訳の分からないことを言っている。
< 14 / 47 >

この作品をシェア

pagetop