【完結】秘密の子育てがバレたら、愛で包囲されました。〜その子の父親は、俺だろ?〜


「どうしても外せない仕事があったんだ。だから、あの日先にホテルを出た」

「………」

 信じられない……そう思うのに。

「君の涙を見て、俺は君に惹かれたのかもしれない。あの日君を抱いた時、俺は今まで感じたことのない感情が湧いた。……それは多分、恋なんだろう」

「恋……?」

 私の想像している恋とは、少し違う。でも……気持ちは分からなくはない。

「俺は……君が好きだ」

「……そんなこと言われても、困ります」

 いきなり好きだなんて言われても、困る。一夜を共にしただけの女に好きだという人がいるなんて……信じられない。

「だから家族になりたいって、そう思ったんだ」

「……私は、あなたと家族になるつもりはありません」

「え……?」

 そんな彼に、私は「私の家族は果琳だけです。 あなたに助けてもらうつもりもないですから」と口にする。

「……由紀乃」

「お願いだから、私たちの前に現れのはやめてください。……お願いだから、私を困らせないで」

 私は今更、彼が父親になることを望んでなんていない。これからも果琳と二人で生きていくの。 

「子供には、父親が必要なんじゃないのか?」

「……そうかもしれませんね」
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