【完結】秘密の子育てがバレたら、愛で包囲されました。〜その子の父親は、俺だろ?〜
確かに、彼の言うとおりだ。でも……。
「なら……」
そんな彼の言葉を遮って「今更、果琳の父親になりたいなんて言わないでください。……果琳には父親のことを話してないんです。今更出てこられても、困ります」と告げた。
「……由紀乃」
「お願いです。……私たちは、二人家族だから」
三人家族になることは、考えていない。
「なせだ?果琳は俺の子供だろ? 俺にも、その子を育てる義務はあるだろ?」
「私は……あなたに父親になってもらうつもりはないんです」
父親がいないことは、確かに子供にとっては可哀想なことなのかもしれない。
でもそれでも今が幸せだから、そこに邪魔をするのはやめてほしい。
「どうして……」
「あなたに何も言わず、私は果琳を産んだんです。……あなたが父親であることを言わないまま、産みました。 だからあなたのことを、責めることも出来ません」
彼を責めることが出来ない私は、臆病なのだろうか……。
「……どうせなら、責めてほしかった」
「え……?」
「どうせなら、いっそのこと責めてほしかったよ。あなたの子を妊娠したから、責任を取ってほしいって、責めてほしかった」
そんなこと、出来る訳がない……。