【完結】秘密の子育てがバレたら、愛で包囲されました。〜その子の父親は、俺だろ?〜
3.家族になるための時間
プロポーズ
「どうして連絡をくれなかったんだ?メモの裏に、俺の連絡先を書いてたのに」
「………。え?」
メモの裏に……連絡先を書いてた?
嘘でしょ……? 全然気付かないまま、捨ててしまった……。
「メモに……連絡先を?」
「そうだ。君にまた会いたいから、連絡先を書いていたんだ。……もしかして、気づいてなかったのか?」
そう言われた私は、思わず「……ごめんなさい。捨ててしまいました」と正直に答えた。
「マジかよ……」
「本当にすみません。気付かなくて……」
私ってば、なんてことをしてしまったのだろう……。
本当に申し訳ないことをしてしまった。
「いいんだ。気にしなくていい」
「……はい」
「こうして再会出来たから、気にしなくていい」
そう言われて思ったのは、メモの裏なんて見ないと言うことだ。
なんで分かりにくい所に書いたの?もう……。
「……あの、片倉さん」
名前を呼ぶ私に、片倉さんは「剛久でいい」と言い出す。
「いえ、あの……。いきなり呼び捨てはちょっと……」
「そうか。ならさん付けでもいい」
「じゃあ、あの……剛久さん」
この人が果琳の父親、片倉剛久さん。
私が一夜を共にした相手。