【完結】秘密の子育てがバレたら、愛で包囲されました。〜その子の父親は、俺だろ?〜


「……っ」

 ダメだ……。泣いちゃダメよ。
 泣いたら負けなんだから。

「君と果琳と、三人で旅行に行きたい」

「……片倉さん……っ」

 どうこらえても、涙が出てしまった。

「家族になるのって、そんなに簡単じゃないことは分かってる。……だからこそ、時間をかけてゆっくりと紡いでいきたいんだ。家族という絆を」

 家族という絆を……?

「片倉さん、私……」

「今は何も言わなくていい。……ただ、俺に時間をくれないか?」

「え……?」

 私の涙を指で優しく拭った片倉さんは「君と果琳のことを、もっとよく知りたい。 もっとたくさん、君と話をしたい」と言ってくれた。

「だから君にも、俺のことをもっと知ってほしいと思ってる。 俺の全てを、知ってほしい」

 片倉さんの、全て……?

「知った上で……俺を受け入れるかどうか、決めてほしい」

 そんな真剣な眼差しを向けられたら、私は何にも言えなくなる。
 片倉さんの真剣さが伝わってきて、なぜか胸が苦しくなる。

「私には……そんな資格ありません」

「……え?」

「私とあなたは、住む世界が違う。釣り合う訳がありません。……私みたいな人と一緒になっても、きっと幸せにはなれないです」
< 23 / 47 >

この作品をシェア

pagetop