【完結】秘密の子育てがバレたら、愛で包囲されました。〜その子の父親は、俺だろ?〜
「……っ」
ダメだ……。泣いちゃダメよ。
泣いたら負けなんだから。
「君と果琳と、三人で旅行に行きたい」
「……片倉さん……っ」
どうこらえても、涙が出てしまった。
「家族になるのって、そんなに簡単じゃないことは分かってる。……だからこそ、時間をかけてゆっくりと紡いでいきたいんだ。家族という絆を」
家族という絆を……?
「片倉さん、私……」
「今は何も言わなくていい。……ただ、俺に時間をくれないか?」
「え……?」
私の涙を指で優しく拭った片倉さんは「君と果琳のことを、もっとよく知りたい。 もっとたくさん、君と話をしたい」と言ってくれた。
「だから君にも、俺のことをもっと知ってほしいと思ってる。 俺の全てを、知ってほしい」
片倉さんの、全て……?
「知った上で……俺を受け入れるかどうか、決めてほしい」
そんな真剣な眼差しを向けられたら、私は何にも言えなくなる。
片倉さんの真剣さが伝わってきて、なぜか胸が苦しくなる。
「私には……そんな資格ありません」
「……え?」
「私とあなたは、住む世界が違う。釣り合う訳がありません。……私みたいな人と一緒になっても、きっと幸せにはなれないです」