【完結】秘密の子育てがバレたら、愛で包囲されました。〜その子の父親は、俺だろ?〜
そう言って俯く私の頬を、片倉さんは優しく包み込む。
「由紀乃、それを決めるのは俺だよ」
「え……?」
片倉さんの強い眼差しに、目が逸らせない。
「俺が誰と幸せになりたいのか、誰と生きていたいのか、誰を幸せにしたいのか。……それを決めるのは、俺だ」
そんな力強く言葉を言われて、片倉さんの本気を感じてしまった。
「……はい」
「君を幸せにしたいと思うのは本当だ。もちろん……あの夜のことで君を悩ませて、妊娠させてしまったことは、本当に申し訳ないと思ってる。だからこそ、君に償いがしたいんだ」
私への、償い……。
「君が果琳を産んだことで、それをもし後悔してるのなら……」
私は片倉さんのその言葉を遮って「それは違います」と告げた。
「え?」
「それは違います。……果琳を産んだことは、後悔なんてしていません」
私は何かを勘違いさせてしまっているのだろうか……。だとしたら、申し訳ない。
「本当に……後悔しなかったのか?」
後悔しなかったと言われれば、ウソになるかもしれない。
「……もちろん、後悔したこともありましたよ。 でも母親になると決めたのは……。果琳を産むと決めたのは、誰でもなく私です」