【完結】秘密の子育てがバレたら、愛で包囲されました。〜その子の父親は、俺だろ?〜
「……え?」
「どうして責めないんですか? 私はあなたの子を勝手に産んで、勝手に育ててるんですよ?なのにどうして……責めようとしないんですか?」
この人はどうして、そうやって嬉しそうに笑うの? ねぇ、どうして……。
「……責められる訳がないだろう」
「え……?」
剛久さんの表情は、少しだけ苦しそうにも見えた。
「俺は君を責めることなんて、出来ないんだよ。そんな資格、ない」
「なんで……っ」
いっそのこと責めてくれたほうが、私だって良かったのかもしれないのに。
責めるのが、普通だよ……。そうでしょ?
「君は名前も知らない俺の子供を、産もうと決めて産んでくれたんだろ?一人で育てるって決めて、育ててるんだろ? その気持ちは、中途半端な気持ちで出来ることじゃない。君は命がけで果琳を産んでくれた。とても辛かっただろうし、寂しかっただろう?」
「……っ」
私のことを責めるどころか、彼は私に感謝している……。
怒るどころか、優しい言葉をかけてくれる。
「だから君には、幸せになってもらいたいんだ。 果琳にも、幸せになってもらいたい」
私の頬を優しく包み、剛久さんは「君の存在が、俺を大きくしてるんだ」と言ってくれる。