【完結】秘密の子育てがバレたら、愛で包囲されました。〜その子の父親は、俺だろ?〜
私はこの人と……家族になるかもしれないんだ。 そう考えたら、それも悪くないと思えた。
一人で育てるって決めても、やっぱりどうしても無理な時はある訳で……。
時には誰かに頼るのも、やっぱり必要なんだって思い知らされる。
私は一人じゃない、そう思わせてくれる人が今目の前にいる。
私を助けてくれる人、私を支えてくれる人が……。
「剛久さん……ちゃんと家族になるために、紡いでいきましょう」
「え?」
「信頼とか、そういうものを……紡いでいきましょう」
この人となら、私は幸せになれる気がする。直感でそう感じた。
「由紀乃……?」
「明日から、よろしくお願いします」
私は剛久さんにお辞儀をすると、剛久さんは「こちらこそ……よろしくお願いします」と笑ってくれた。
「私……あなたと過ごす時間、大切にしたいと思ってます」
この人は……正真正銘、果琳の父親だから。果琳はきっと、彼に懐いてくれるだろう。
父親だと名乗らないでと言ったけど、名乗ることを許しても……いいかもしれない。
「由紀乃、俺は君と果琳を大切にする。 だから俺を、信じてくれないか」
その言葉を聞いて、私は「……はい」と返事をした。