【完結】秘密の子育てがバレたら、愛で包囲されました。〜その子の父親は、俺だろ?〜

 
 剛久さんのその表情は、完全にパパの表情になっていた。
 その時感じたんだ。この人はやっぱり、果琳のパパなんだって。
 
「あーあ、果琳、お口汚れてるよ」

 ウェットティッシュを取り出し、果琳の口元を優しく拭く。

「なあ、由紀乃」

「はい?」

「今度、動物園にでも行かないか?」

「え?」

 動物園? 動物園……。

「ほら、果琳がこの前動物図鑑見てて、動物好きなのか聞いたら、うんって答えたから」

 確かに果琳は、動物が好きでよく動物図鑑を見ている。
 果琳は特にパンダとライオンが好きみたいで、いつか動物園にも連れてってあげたいと思っていたけど、なかなか難しかった。

「ねぇ、果琳。果琳はなんの動物が好きなんだっけ?」

「パンダしゃん!」

 パンダが好きということが、よく分かる答えだ。

「そっか、果琳はパンダさんが好きなのか」

「パンダしゃん! しゅき!」

 果琳はパンダさんに大興奮だ。見に行くのが楽しみなようだ。

「じゃあ果琳。おじさんとママと、三人で動物園にでも行こっか」

「どーぶしゅえん?」

「そう、動物園。パンダさん見に行こうか」

「パンダしゃん!みる!」

 果琳のこんなに楽しそうな顔、初めてかもしれない。
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