【完結】秘密の子育てがバレたら、愛で包囲されました。〜その子の父親は、俺だろ?〜
2.シングルマザー
娘、果琳(かりん)
「果琳(かりん)、そろそろ帰ろうか」
「まーま、かーる?」
多分、ママ帰る?と言っているのだろう。
「うん、帰るよ」
私の娘、果琳(かりん)。もう一歳半だ。
果琳はあの日の夜、抱かれた男性との間に出来た子供だった。
果琳を妊娠していると知ったのは、旅行から帰国して数ヶ月後のことだった。
まさかあの時の一度きりで妊娠しているだなんて、思ってもなかった。
でも妊娠したと知った時、私はなぜか堕ろそうとはならなかった。なぜか分からないけど、産もうと思ったんだ。
名前も知らない彼との子供を産むなんて、どうかしている。私もそう思ったけど、私の決意は揺るがなった。
果琳を産むことで、その人とどうにかなりたいっていうのもなかったし。
だけどシングルマザーとして生きていく覚悟があるかと言われたら、そうじゃなかった。
それこそ不安で仕方なかったけど、でも果琳がいるから頑張れている。全ては果琳のため、それだけなんだって言い聞かせている。
「果琳、お家帰ったらプリン食べよっか」
「プイン? たーる!」
おそらくプリン食べる!と言っているのだろう。果琳の言葉を聞き取るのもうまくなってきた。