義母と私と
「必要だと思った時にだけ、おいで」
そう言われて、咄嗟に声がでなかった。
夫となるタツヤは平然と返事をしているので、とりあえず会釈した。
「さて、ご飯はどうする?食べてく?」
話をあっさり変え、義母は投げ掛けてきた。
タツヤは「どうする?」と私に投げてきたので、困った時、義母がすぐに「あんたに聞いてるんだよ。ナナさんは今日来たばかりだよ?遠慮だってある。あんたが決め」と言ってくれた。
好印象…だったのかな?と不安で頭がぐるぐるする。
「話し終わり?」
ドアが空き、お姉さんのミカさんが顔を出してきた。
義母は頷くと、お姉さんの後ろから息子のコウが私の元に来た。
すかさず義母の方を向かせ「息子のコウです。よろしくお願いします」と頭を下げた。
「よろしくね、知らないお家にきてビックリしたでしょ?お利口してくれてありがとう」
義母の言葉にコウは照れて黙ってしまった。
せっかく声かけてくれたのにと思い、焦り、コウに「褒められてうれしいねぇ?」と声をかけると、義母は「照れるよねぇ、いいよいいよ、さて、それでご飯はどうする?気を遣うし、今日は帰るかい?」と言ってくれた。
その言葉にタツヤが頷き、私たちは帰宅することになった。
帰り道の車の中でコウはお姉さんとなにをして遊んでいたかを教えてくれた。
お姉さんのところにも同い年くらいのお子さんがいて、一緒に遊んだという。
これから、仲良くできればいいな…
「大丈夫だよ、母さんもミカ姉さんもナナのこともコウのことも気にしないから」
「気にしないって…どういう意味よ…」
心の声が聞こえたのかと思うような言葉…だけど、気にしないとは意味がわからない。
タツヤに聞き返すと困った顔をして「そのままの意味かな…うーん」と悩んでしまった。
「ま、とりあえず必要だと思った時に会えばいいだけだから」
「それなら次会うのはお正月?」
「え?んー、ナナが行きたいならいくけど、何にもないよ?」
「え?新年の挨拶は?」
「うち、そういうのあんまないんだよね」
確かに、タツヤはあまり実家に帰らなかった。
母の日とか、行事も特に何かしてる様子もなかった。
けど、嫁になった私は本当にやらなくていいのかな…。
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