義母と私と
憂鬱な気持ちをなんとか切り替え、いざ義実家へ!と気合いをいれて手土産を持ち向かう。
タツヤはぶつぶつと文句を言っているが、私の方が行きたくないよと言いたくなるのをぐっと我慢した。
「どこ行くの?」
「前に行ったおばあちゃん家だよ。きちんと挨拶しようねー」
コウははぁーいと返事をした。
可愛い、癒される。
しかし、挨拶ができなかったら躾がなってないと思われるのではないかとドキドキする。
のんきなタツヤはえらいなーなんて呟いてる。
「いらっしゃい、とりあえず上がんなさい」
義実家に着き、玄関先でまず挨拶と思っていたところすぐに家の中へと招かれしそびれてしまった。
義母はスッと行ってしまい、入るのを躊躇う余裕などなく後をおった。
「あの!これ!明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします!」
勢いよく言いながら付き出した。
慌てすぎてタイミングを間違った気がする。
ドキドキしてしょうがない。
「わざわざありがとう。明けましておめでとう、今年もよろしくね」
私の手からお土産を取り、挨拶を返してくれた。
よかったのか…?と思っていると義母はすぐに背を向けてしまった。
まずかったかな…と思っていると奥からミカさんが顔を出した。
「ナナさん、いらっしゃーい。明けましておめでとー、今年もよろしくねー」
軽い感じに言われたが、明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いしますと返すとミカさんは、こちらこそーと返してきた。
後ろからお子さんたちが出てきて、同じように軽く挨拶した後コウの元へ来てくれた。
「コウくん、あそぼ」
コウはチラッと私をみた。
まず挨拶!と念を送ったが届かない。
「おいでおいでー」
とミカさんも手招きしてくれ、ミカさんのお子さんに引っ張られるような形でコウは着いていった。
チラリと見るとタツヤは腰掛けミカさんの旦那さんと話し込んでいた。
どうしていいかわからない。
落ち着かない…。
「ナナさん、これ」
コウの元にでも行こうと思っていたとき義母に声をかけられた。
義母の手には封筒があった。
「とりあえず、腰掛けなさい」
促されるままダイニングテーブルの椅子に腰かけ、封筒を手に取った。
義母に視線を送ると表情を変えぬまま「少しだけど」と言われた。
失礼かと思いつつ封筒の中をチラッと覗くと現金が見えた。
「これは何ですか?」
私の問いに義母は困ったような顔をした。