雨灯-レインライト-
雨夜に濡れる
昇降口から見上げた空は灰色で、まるで世界から色彩が消えてしまったようだった。
今日も、雨。
冷たく鋭い雨針が、空から地面へと打ち付ける。
その光景を呆然と眺めるわたしの横を、生徒たちが足早に通りすぎていく。
喧騒の中にいるはずなのに、わたしの耳には沈黙しか聴こえない。
わたしだけが世界から切り離されたような、そんな気がしてならない。
もうずっと、ひとりぼっちだ。
いつからだっけ。
それすらも覚えてない。
自分のことすら分からない。
どれが本当で、どれが偽物なのか。
どこまでが現実で、どこからが想像なのか。
境界線はいつも、涙でぼやけて見えなくなってしまう。