雨灯-レインライト-
あの日から5年の月日が経ったいま、わたしは再び孤独な人生を送っていた。
与えられる優しさを素直に受け取れず、突き返した。
慣れてないから。
照れくさいから。
そんな資格ないからって、言い訳ばかり探して。
雨に降られながら、夜道を歩く。
等間隔に並んだ街灯が、哀れなわたしにスポットライトを当てる。
縋るように雨空を見上げる。
街灯に照らされる雨針が、酷く美しく感じた。
近づいて離れてった。
届きそうで届かない恋だった。
壊したくなくて。
守りたくて。
臆病なわたしは、いつまで経っても臆病なままだ。
いつだってキミのことばかりで。
キミしか見えなくて。
会いたくなるよ。
泣きたくなるよ。
なのに、キミはもう居なくて。
しつこくちょっかいをかけてきたキミも、
一番に駆けつけてくれたキミも、
優しく涙を拭ってくれたキミも、
寂しくないように強く抱きしめてくれたキミも、
もう、居なくなっちゃったんだなぁ。
涙が、溢れて。
雨夜に、溶けていく。
雨とともに、地面に流れていく。
だれにも気づかれない、いまのわたし。
きっとこれからも、こんなふうにひとりぼっち。
忘れてしまいたいほどに愛おしい日々でした。
キミだけが特別でした。
ずっと素直になれなくてごめんなさい。
困らせて、迷惑かけてごめんなさい。
いまも、同じ世界のどこかで、同じ空の下で。
キミが笑ってくれているのなら、
幸せだと感じているのなら、
わたしはそれで幸せなんです。
キミの幸せが、わたしの幸せなんです。