推し活!
第1節
山田慈雨は自室にこもり、電話をかけては切り、かけては切りを繰り返していた。
「ただいま電話が混雑しております。しばらく経ってから…」
あぁ、もう。何度このメッセージを耳にしただろう。
あまりにもつながらない電話を片手に途方に暮れる一方で、そのことが「彼ら」の人気を物語っているようで、誇らしくもある。
机に立てかけられた写真立ての中の生写真、壁に貼ったポスターや雑誌の切り抜き、そしてスマホの待ち受け画面。
部屋の四方八方から彼らに見つめられ、頑張れと言われているような気がする。
昨年のコンサート会場で購入したロゴ入りの時計が、あと10分で午後8時を示そうとしていた。
…ということは、
もうかれこれ一時間以上はスマホを握り続けていることになる。
次のデートの日程が決まるのだ。どうしてここで引き下がることができよう。
「ただいま電話が混雑しております。しばらく経ってから…」
あぁ、もう。何度このメッセージを耳にしただろう。
あまりにもつながらない電話を片手に途方に暮れる一方で、そのことが「彼ら」の人気を物語っているようで、誇らしくもある。
机に立てかけられた写真立ての中の生写真、壁に貼ったポスターや雑誌の切り抜き、そしてスマホの待ち受け画面。
部屋の四方八方から彼らに見つめられ、頑張れと言われているような気がする。
昨年のコンサート会場で購入したロゴ入りの時計が、あと10分で午後8時を示そうとしていた。
…ということは、
もうかれこれ一時間以上はスマホを握り続けていることになる。
次のデートの日程が決まるのだ。どうしてここで引き下がることができよう。