推し活!
慈雨はスクールバッグからアクリルスタンドを取り出した。


腰に片手を当ててポーズを決めている真広が、12cmほどのアクリル板の上で笑っている。


その笑顔を見ていると、真広とカフェにデートで来ている気分になってくる。


「AOって二人とも甘いもの嫌いって言ってたよね?」


慈雨はいつかの雑誌に書かれていた情報を思い出した。


「そうそう。バレンタインはチョコじゃなくてプロテインがいいって、尚が言ってた」


萌香が思い出し笑いをしながら相づちを打った。


「尚くんはこういう店に来ても、クリームソーダのどこがうまいんだよ、とか言って女の子に怒られそう」


「ね。わざと好きな子怒らせたりしてね」


「その点、真広くんは女の子に合わせて無理して飲みそうだなぁ」


「言えてる。優しいもん」


こうやって妄想を膨らませるのは楽しい時間だ。


そうこうしているうちに注文の品が運ばれてきた。
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