ねぇ、放さないよ?
最近、有愛の付き合いが悪い━━━━━

玄琉は苛立っていた。

今までは……休みの日のデートの誘いを断ったことのなかった有愛。
最近は………

「あ、ごめんね!
“お友達”と遊ぶ約束してるの」
と、よく断られるのだ。

考えたくはないが、嫌な予感しかしない。



「しょうがないか!」

その日の晩。
有愛が寝た後、部屋に忍び込んだ玄琉。

サイドテーブルに置かれたスマホを取る。
有愛の手を優しく取り、スマホの指紋ロックを解除する。

そして、スマホの中身を盗み見た。

「…………進治くん?
誰だ、こいつ」

メッセージの内容を見るだけで、すぐにわかった。

“嫌な予感は的中した”と━━━━━━

「………ったく…有愛には、僕がいるでしょ?
さぁ、どうしようかなぁー
“このクズ”」


『明日、楽しみにしてるね!』
今日のメッセージの最後の内容。
進治からのメッセージだ。

「明日……」

“あ、ごめんね!
明日も、遊ぶ約束してるの”



「あーーーーーーー!!!!!」
思わず、奇声が出てくる。

「んん…」
その玄琉の声に、有愛が身動いだ。
「あ…ごめんね……」
慌てて、有愛の頭を撫でる。

しばらく頭を撫でていると、有愛の寝息が聞こえてきた。

安心したように玄琉は、部屋を出たのだった。

それから、ベランダに出た玄琉。
煙草を咥え、火をつけた。

ある人物に電話をかけた。

『はい』
「あー、僕だよ。
“また”消してほしい人間がいるんだ」

『はい、かしこまりました』

「ありがとね!いつも」

『いえ…貴方に、地獄に落とされるくらいならお安いご用ですよ』

「情報、明日中に送るから。
よろしくね!」


通話を切って、煙草の煙を吹いた。

「待っててね、有愛。
僕と有愛の幸せを汚す奴等は、全部、消してあげるからね!
美里愛も、あいつも………」
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