ねぇ、放さないよ?
美里愛と結婚して、しばらくはよかった。


しかし半年たった辺りから、美里愛に不審がられるようになったのだ。

それは僕が一切、美里愛に触れないからだ。


交際している時は“仕方なく”美里愛を抱いていた。
嫌われたら、有愛に会わせてもらえなくなると思ったから。

でも一緒に住んでしまうと、もう…美里愛は邪魔でしかない。

正直、消えてくれないかと思っていた。


美里愛の不審は、もうひとつある。

それは、僕が夜な夜な部屋からいなくなるからだ。


有愛と“同棲”するようになって、僕は毎晩寝静まった後、有愛の寝顔を見に部屋に忍び込んでいた。

とにかく、有愛の寝顔の可愛いこと!

僕は、ただ毎晩有愛の寝顔を見つめて夜を過ごしていた。

「キスをしたいな……
でもな…
キスしてしまうと、止まらなくなるだろうし……」


そしてそれから更に、4ヶ月経った頃。
美里愛から言われた。

「毎晩、何してるの?」と。

「別に」

美里愛は、浮気でもしてるのではないかと疑っているようだった。
まさか、有愛の部屋にいるとは思わない美里愛。

しかし、僕的にはその方が好都合だ。

そのまま、浮気をしていることにしよう。

そう思い、このまま美里愛から別れを告げてくれないかと期待していた。


でもその前に、僕の欲望が爆発する出来事が起きたのだ。

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