ねぇ、放さないよ?
「え……お兄さん?」

「僕がいるよ?」
「え?」

「これからは、僕がいる!
ありちゃんのこと、守るから!
いつでも、頼ってよ?
ありちゃんが望むなら、何処へでも連れてってあげるよ?
寂しいならずっと傍にいるし、泣きたい時は胸を貸す」

「ありがとう!お兄さん」
「ん」

「でも……」
「ん?」

「ダメだよ!
お兄さんは、お姉ちゃんの旦那さんなんだから!」

「………そうだね」

「………」
「………」

「ただ……」
「ん?」

有愛は、真っ直ぐ玄琉を見た。

「お兄さんが、恋人だったら良かったな……」

「え………」

「お姉ちゃん、羨ましい……!
お兄さんが恋人だったら、私……毎日幸せだろうな!
………なんて(笑)」
クスクス笑いながら、有愛はまた窓の外を見つめた。

「…………」


その次の日だった━━━━━━

「今日も遅いね。お姉ちゃん」
「そうだね」
玄琉と有愛は、夕食を食べていた。

「あ、お兄さん!
食後に、林檎食べない?買ってきたの」
「うん!ありがと!」

アイランドキッチンへ向かい、林檎を切る。
「━━━━━っ…たい…!!?」
「有愛!!?」

「エヘヘ…切っちゃった!(笑)」
「見せて!!」
有愛の切った指をパクッと咥えた玄琉。

「え……お兄…さん……?」
指に、玄琉の舌の感覚が広がる。
玄琉の舌に全神経が集中し、身体が一気に熱くなって変な感覚でいっぱいになる。

「や…やだ……/////やめて!」
慌てて引っ込めようとするが、玄琉にがっちり手首を掴まれていてびくともしない。

「有愛!ダメ!ちゃんと、消毒しないと!」
「で、でも……////」
「大丈夫だから、僕に委ねて?」
反対の手で頭を撫でられて、言い聞かせられた。

また、パクッと咥えた玄琉。
有愛は、自分の服を握りしめて耐えていた。

そして顔を真っ赤にして耐える有愛に、玄琉は興奮していた。
(可愛すぎ…/////)


そこに、玄琉のスマホが震え鳴り響いた。

「…………ちょっと、待っててね!」
また、ポンポンと有愛の頭を撫でてソファに向かった。

「もしもし?
━━━━━え!?美里愛が!?━━━━はい、はい━━━━わかりました!すぐに向かいます!!」
通話を切った玄琉が、有愛に向き直る。

「お兄さん?」
「ありちゃん!美里愛が━━━━━━━」


「━━━━━━━え……!!!!?」
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