ねぇ、放さないよ?
「ありちゃん?」

「どうして!!お姉ちゃんは死んじゃったの!!?
どうしてみんな、私を置いていくの!!?」
「………」

玄琉は、ただ有愛の背中をさする。

「会いたいよ…お姉ちゃんに会いたい!」
「………」

「………」
「………」

しばらく抱き締め合い、玄琉は有愛の背中をさすっていた。
静かなリビングダイニングに、有愛の背中を玄琉の手が上下する音だけが響いていた。

「ありちゃん」
「ん?」

「身体、冷えてきてる。
寝よう?」
「うん…」

「…………一緒に、寝ようか?」

「え?」
玄琉を見上げると、玄琉は微笑んでいた。

「ありちゃんが眠るまで、背中さすっててあげるから」

玄琉と美里愛の部屋に向かう。
キングサイズの大きなベッドに横になった玄琉が、有愛に手招きした。
「ありちゃん、おいで?」

「うん」
頷き、玄琉の横に寝る。
玄琉の腕が、首の下に入ってきてそのまま抱き締められた。

玄琉の手が背中を上下する。
「ずっと、こうしてるから寝な?
……………おやすみ、ありちゃん」

玄琉の手の温もりや包まれてる玄琉の匂いに安心し、有愛はゆっくり目を閉じた。
しばらくすると、有愛の寝息が聞こえてきた。

「ありちゃん?
…………寝た…かな…?
良かった……」

玄琉も更に有愛を抱き締め、心地よい眠りについた。



夜が明けて、玄琉が目を覚ます。
腕の中で眠っている有愛を見て、微笑んだ。

「幸せ……」
有愛の額にキスをして、起こさないようにベッドを下りて部屋を出た。

しばらくして、有愛が目を覚ました。
「ん…あ…朝?
あれ?ここ……あ!お兄さんのベッド!」
ゆっくり、シーツをなぞる。

(ここで、二人で…//////)
思わず、顔を赤くする。

「………って!お姉ちゃんが死んだばっかなのに、何を……!!!」
頭を横に振り、部屋を出た。


洗面を済まし、ダイニングキッチンに向かう。
「お兄さん、おはよう」
「ありちゃん!おはよ!
朝ごはん出来てるよ!食べよ?」

「でも、食欲が……」
「食べなきゃ!
味噌汁だけでもさ!」

「お兄さん、元気だね…」

美里愛が亡くなってまだ、3日しか経ってないのに……
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