私たちの物語に、花を添えて
「あの、僕……もっとあなたとお話したくて……」

店員さんの言葉に、私は「良いですよ。連絡先、交換しましょうか」と笑う。店員さんは、嬉しそうに「ありがとうございます!」と笑った。

連絡先を交換して、店員さんと別れる。

別れてからも店員さんのことが頭から離れなかった。



あれから数週間後。

今日は、退院した友だちが私の家に遊びに来る日。友だちは、私の家に来ると庭に移動した。

友だちも私も花が好きで、お互い花を育てている。

「あ、まだ花育てたんだ……ん?この花……」

友だちは、最近新しく植えた花を見つめた。

「……アガパンサスか。知ってる?アガパンサスの花言葉」

友だちは、そう言って私に視線を移す。

「アガパンサスの花言葉は、恋の訪れ……だよ」

友だちからその花言葉を聞いて、店員さんの顔が思い浮かんだ。

一気に体が熱くなる。この感覚って、まさか。

「お。ついに、好きな人が?」

私は、あの時からずっと店員さんに恋をしていた。

でも、今はまだ伝えない。出会って、1か月しか経ってないから。

でも、いつかは伝える。「あなたのことが好きだ」って。

伝えるから、待っててね。
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