私たちの物語に、花を添えて

舞踏会で、綺麗な君と

とある小さな国の真ん中に建つお城には、王様、妃様、そして1人の王子や家臣たちが暮らしている。

王子は度々お城を抜け出しては、遠くの町に遊びに行っていた。

その町で、王子はとある女性と出会った。艶やかな黒髪に、透き通った水色の瞳を持った女性。

その女性に、王子は一目惚れをした。その日から王子は、女性のもとに毎日のように通うことになった。

「王子、今日も仕事をサボってきたのですね？」

綺麗な声を響かせながら、女性は呆れたように言う。

「君に、会いたかったからね。今日も綺麗だよ……美しい」

「そういうことは、王子の妻となる方に言ってください！」

「何を言っているんだい？僕の妻になるのは、君だよ？」

王子の甘い言葉に、声に、女性は顔を真っ赤にした。それを見て、王子は満足そうに笑う。

「……今日は、君にこれを渡しに来たんだ」

そう言って、王子はポケットから1枚の手紙を取り出し、女性に差し出した。

「1か月後にお城で開かれる、舞踏会の招待状だよ。返事は、今じゃなくていい。また、聞かせてね」

女性に笑いかけた王子は、女性に背を向けて歩き始めた。
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