私たちの物語に、花を添えて
「はい。小雪さんがそんな顔をするの、珍しいですね。何かあったんですか?」

「……実は、昨日……友だちと会ったんですけど」

そう言って、私は昨日の出来事を話す。

「友だちは、本当は私に話したいんじゃないかって……」

私の言葉に、夜勤さんは何かを考えた。それから「でも、小雪さんからは『話して欲しい』って言いづらいってところね……」と呟く。

どうしようか考えながら、私は職場のリビングにある消えていたテレビを付けた。パッと画面に映ったのは、色とりどりのバラが咲き誇っている映像だった。

「…………これだ」

それを見て、私は呟いた。



「春ちゃん」

それから数日後、空いている時間に描いていたとある花の絵を持って、私は春ちゃんの家に来ていた。

春ちゃんは笑顔だけど、どこか辛そうにしているような気がする。私は私の気持ちを伝えようと、絵を春ちゃんに見せた。

「……私、春ちゃんと再開してからずっと悩んでいたんだ。どうしたら、春ちゃんの悩みを私に話してくれるかなって。結局、この方法しか思いつかなかったんだけど、私の気持ちを春ちゃんに伝えたいの。この絵に描かれているのは、ステファノティス。花言葉は、『傾聴する』。辛いことがあったら、誰かに話してみたら案外楽になるかもよ?」

私がそう言うと、春ちゃんは泣き出す。

そして、春ちゃんは「あのね」と口を開いた。
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