~月のような君と~

泊まり




もう18時すぎてる…



帰らなくちゃ。




帰る…



言わなくちゃ。


皆に、帰るって言わないと。





声が出ない…




















「なにあんた、帰りたくねぇの?」

















え…?








そう言ったのは朔夜さんだった






朔夜さんを見たら、私を真っ直ぐ見ていた












あ、まただ…


また見透かされた





また私の心を読まれた…







そうか…私、帰るって口にすると現実に戻っちゃう気がして言えなかったんだ…








私、こんな事言っていいのかな




こんな事を言ったら、咲を裏切る事になるんじゃないの…?



でも、今日は咲はいない…




咲が危険な目に合うことはない




明日、父親に嘘をつけば逃げた事にはならない…?

















「帰りたく…ない。」

















!?






私は初めて、自分の気持ちを口にした。

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