夢のまた夢では 終わらない夢
歯ブラシをくわえたまま正面の鏡に映る自分の目と目が合った。
髪はちりちりぼさぼさ。
寝起きの腫れぼったいまぶた。
丸い顔に丸い鼻。
イケてない……、よね。
こんなんじゃ無限大の可能性が待ってくれてるような気がしない。
慌てて歯磨きを終え、髪を後ろに束ねた。
この癖毛は、一つに束ねないとえらいことになる。特に雨の日なんか最悪。
それこそ芸術は爆発だの世界だ。
ベッドの上の小窓から差し込む光が枕で揺れているのが鏡の向うに映っている。幸いにして今日の天気は良さそうだ。
それだけでも今朝はラッキー、何かが始まる可能性はやや広がった。
これから、私の同級生でかつ一番の出世頭でもある実業家、浜谷 美咲が最近購入した高級マンションに行くことになっている。
美咲は、大学を出てすぐにオーガニック・カフェを立ち上げ、それが人気を博して次々と店舗を広げていき、今や全国に八店舗を構えるカフェオーナーだ。
そんなすごいことを成し遂げた友人がいるなんて、私も本当に誇らしい。
先日会った時には、テレビ局や雑誌からの取材依頼も絶えないと言っていたっけ。
学生の頃は二人で馬鹿話で笑ってばかりの毎日だったのに、何がそんな二人の人生をここまで大きく分け隔てたんだろう。私は小さな会社のしがない事務職だというのに。
ま、そんなことはどうだっていい。
今日は最近購入したっていう都心の高級マンションでお宅拝見会だ。
今までもそこそこいいマンションに一人住まいだったけど、今度は立地も平米数も以前とは桁違いらしい。
日曜の朝は、気持ちに余裕がありすぎるせいか、既に九時半を回ろうとしている。
え!もうこんな時間?!美咲と約束している十一時まであまり時間がない。
冷蔵庫から出したオレンジジュースをコップ一杯飲み干すと、急いで濃紺のワンピースを頭から被り、手早く化粧をする。
そして、美咲へ新居祝いのプレゼントが入った紙袋を手にし、玄関を飛び出した。
髪はちりちりぼさぼさ。
寝起きの腫れぼったいまぶた。
丸い顔に丸い鼻。
イケてない……、よね。
こんなんじゃ無限大の可能性が待ってくれてるような気がしない。
慌てて歯磨きを終え、髪を後ろに束ねた。
この癖毛は、一つに束ねないとえらいことになる。特に雨の日なんか最悪。
それこそ芸術は爆発だの世界だ。
ベッドの上の小窓から差し込む光が枕で揺れているのが鏡の向うに映っている。幸いにして今日の天気は良さそうだ。
それだけでも今朝はラッキー、何かが始まる可能性はやや広がった。
これから、私の同級生でかつ一番の出世頭でもある実業家、浜谷 美咲が最近購入した高級マンションに行くことになっている。
美咲は、大学を出てすぐにオーガニック・カフェを立ち上げ、それが人気を博して次々と店舗を広げていき、今や全国に八店舗を構えるカフェオーナーだ。
そんなすごいことを成し遂げた友人がいるなんて、私も本当に誇らしい。
先日会った時には、テレビ局や雑誌からの取材依頼も絶えないと言っていたっけ。
学生の頃は二人で馬鹿話で笑ってばかりの毎日だったのに、何がそんな二人の人生をここまで大きく分け隔てたんだろう。私は小さな会社のしがない事務職だというのに。
ま、そんなことはどうだっていい。
今日は最近購入したっていう都心の高級マンションでお宅拝見会だ。
今までもそこそこいいマンションに一人住まいだったけど、今度は立地も平米数も以前とは桁違いらしい。
日曜の朝は、気持ちに余裕がありすぎるせいか、既に九時半を回ろうとしている。
え!もうこんな時間?!美咲と約束している十一時まであまり時間がない。
冷蔵庫から出したオレンジジュースをコップ一杯飲み干すと、急いで濃紺のワンピースを頭から被り、手早く化粧をする。
そして、美咲へ新居祝いのプレゼントが入った紙袋を手にし、玄関を飛び出した。