夢のまた夢では 終わらない夢
父の話が全て真実なのか、母がいない今確かめるすべはない。

ただ、今ある真実は父が語られた以外には存在しない。

すぐに父を許せるかっていうとそれは違う。あまりに出会うまでに時間がかかりすぎた。

これから、少しずつ父を知り、そして受け入れていくしか今の私にはできないと思った。

一つ確かなのは、母は父を思って身を引いたってこと。父のことを愛していたからできたこと。

私は目をつむり母を思いながら大きく深呼吸する。

そして目を開け、目の前で泣く父の肩に手を置き言った。

「またサロンでお相手お願いします」

父はゆっくりと顔を上げると、涙でいっぱいになった目で私を見つめる。

「ありがとう」



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