冷徹上司の過剰な愛
「蓮美、」



オフィスを出てエレベーターに乗り込むと、小走りで難波さんが乗り込んで来た。



「お疲れ様です。」


「ん。お疲れ。」


「………。」


「………。」



ん?何この沈黙。これから難波さんのマンションに行くんだよね?なのに無言なの??


一歩先に立つ難波さんの背中を穴が空くほど見つめる。


……触れてもいい、かな?…。


難波さんの背中を見つめていると、どうしても触れたい衝動に駆られ、静かに抱きついた。



「っ、蓮美…?」


「あのん、です。」


「…ここまだ会社だからダメ。」


「じゃ会議室だったらいいんですか?会議室だと難波さんもあのんって呼ぶじゃないですか。」


「…とにかく今はダメ。離れて?」



腰に回るわたしの腕を優しく解くと、振り返った難波さんと目が合う。
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