冷徹上司の過剰な愛
「浬っ、…!」



マンション前で待っていたのは波瑠さんで、難波さんを見つけるなり駆け寄ってきた。


そのまま難波さんの胸に飛び込んだ波瑠さんを、わたしは隣で見ていることしかできなかった。


というか、何が起きて、どういう状況なのかすぐには理解できず、ただ頭の中が真っ白になっていた。



「波瑠、」



と名前を呼び、冷静に離れようとする難波さん。



「好きなのっ…浬のことが好きっ。」


「………。」



叫びに近い声で気持ちを告げた波瑠さんに胸が締め付けられる。


…波瑠さんは本気で難波さんのことが好きなんだ…?



「お願い浬。わたしとやり直して?…お願い…っ。」



抱きついたまま、離れそうにない波瑠さん。


……わたしの難波さんなのにっ…難波さんに触れていいのはわたしだけなのに…。


そんな思いで波瑠さんを見ていると、ふとわたしに瞳を絡め、ドキッとする。
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