冷徹上司の過剰な愛
「鍵持ってるよね?それ使って入ってて。波瑠のこと送って行くから。」



……難波さんが選んだのは波瑠さんってこと…?



「あのん。返事して?」


「………はい…。」


「ん。すぐ戻るから。行こ、波瑠。」



っ、……


難波さんと波瑠さんの背中をボーっと見つめていると、頬に冷たい感触が…。


……雪だ。


そういえば今朝の天気予報で雪が降るようなこと言ってたっけ?だからこんなに寒いんだ…。


気づくと難波さんたちの姿をどこにも無くて、ただ1人虚しくその場に残されていた。


マンション前に間隔をあけて並ぶベンチ。その一つに腰掛けるとため息を吐いた。


……やっぱりわたしじゃなかった。難波さんが選んだのはわたしじゃない。


そうだよね。あの2人は幼馴染で、そして5年間も恋人同士で……それってもう最強だもんね。


波瑠さんが言っていたように、2人の関係性を甘く見ていたのかもしれない。


それでも難波さんはわたしが好きだと……


思っていたかった。
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