冷徹上司の過剰な愛
"すぐ戻る"なんて嘘。


あれから1時間以上経ってるし、雪はやみそうにない。


そして、もう大分前から手足の感覚がなく、体もキンキンに冷え切っている。


それでも待っていたい……


難波さんが波瑠さんを選んだとしても…。


その時、小走りで駆け寄って来る難波さんの姿が見え、思わず立ち上がった。



「っ、難波……さん…?」



側までやってきた難波さんに声を掛けようとすると、そのまま勢いよく抱きしめられた。


…あったかい……。



「…難波さん…。」


「……外で待ってると思ってた。ごめんあのん…ごめんっ。」


「……難波さん?」


「震えてる…体もこんなに冷たくなってる……全部僕のせい。ごめん。」


「…大丈夫です。もう謝らないでください。」



難波さんから離れ、笑顔を見せると、引き寄せられるように唇が重ねられた。


多分、難波さんも走って来てくれたんだと思う。


…唇が氷のように冷たい。耳も真っ赤。
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