冷徹上司の過剰な愛
「っ、ごめんなさいっ!」と咄嗟に破片を拾おうとすると、難波さんに止められた。



「僕がするからあのんは向こうで休んでて?」


「…はい…。」



なんでわたしはいつもこうなんだろう?…なんでこれくらいのことも出来ないの?……もうやだ。こんな自分が大嫌い。


破片を回収し終えた難波さんはそのまま食器を手際良く洗っていく。


その姿が今のわたしには刺さる。


難波さんはなんでも出来てすごいなぁ。ほんとわたしとは正反対。


…不釣り合いだよね、わたしたち。


難波さんから視線を自分の足元に下げると小さくため息を吐いた。これで今日3回目のため息。


わたしの中からどんどん幸せが逃げていく。けど、もう逃げる幸せもないかも。


なんてことを考えていると、わたしの前に屈み込んだ難波さんと瞳が絡んだ。



「何考えてたの?」


「…お皿、割っちゃってすみません。弁償します。」


「あぁ、いいよ。気にしないで。」


「でもっ、あのお皿すごく高そうだったので……分割とかでも大丈夫ですか?」



多分、わたしのお給料で一括っていうのは難しいだろう。
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